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話題の「メカニカル ドーピング」をマジメに考察する

各メディアが大きく報じ、じゃかるた新聞にも記事が出ていたので、ご存知の方も多いと思いますが、国際自転車競技連合(UCI)が主催し、ベルギーで開催された「シクロクロス世界選手権」で、女子のドリエッシュ選手(19)が、自転車に隠した補助モーターアシストによる不正が発覚した事件は、自転車競技界初の『メカニカル・ドーピング』だとして大きなニュースになっています。

最近、自転車競技での『ドーピング』がよく取り上げられるように思います。アームストロング選手の衝撃の告白から、最近の映画『レーサー/光と影』、「パンターニ/海賊と呼ばれたサイクリスト」のネタとしても、何かと『勝つ為に体を切り売りする』厳しいレースの世界が注目を集めているわけですが、『メカニカル・ドーピング』との言葉は初めて聞きました。

通常、ドーピングとは「禁止薬物」を使用することが一般的で、血液を一旦抜いてレース前に戻す赤血球増加などの運動能力向上を目的とする「禁止方法」等もありますが、いずれも選手の体に直接作用させる行為です。

ですから、今回のように機材に不正する行為を「ドーピング」と呼ぶのはちょっと新鮮な言い方に感じます。

しかし、このブログも「自転車」を名乗る以上、この話題をスルーできません。

まず、今回の事件内容を簡単に整理しておきましょう。

上記「シクロクロス世界選手権」は1月30日ベルギーのゾルダーで開催された。

女子23歳以下の部に、同地のフェムケ・ファン・デン・ドリエッシュ選手(19)が出場。

ヨーロッパとベルギーのチャンピオンである彼女は、最終ラップで「技術的なトラブル」から棄権して歩いてゴールした後に、UCIが自転車を押収して調査を行った。

◆なぜ、UCIは彼女の自転車を疑ったのか?

UCI はかねてよりこうした不正が行われることを予測しており、今回の発見はアシストモーターとその制御部が発する高周波電波を検出するタブレット端末を使用していたとしています。

UCIは彼女の自転車から高周波の電波が出ていることを探知したため、シートポストを抜いてチェック。

その結果、クランク軸の近くのボトムブラケットに超小型モーターが仕込まれているのが発見されたという。

不正が発覚したドリエッシュ選手 (上写真)は取材に対して、「私の自転車ではありません。友人のもので、よく似ているんです。友人は土曜日(30日)にコースを回って、トラックに自転車を置きました。メカニックはそれが私のものだと思って、メンテナンスして、私のために準備したんです」と涙を流しながら反論。「私は何も悪いことはしていない」と強調した。

とはいえペナルティは厳しい。不正が認められれば、選手には失格や6カ月の出場停止処分、そして最高20万スイスフラン(約2400万円!?)の罰金が科されることになるそうな。

UCIは、でのこのような事例は初めてだとしている。

しかし、ギリギリまでムダを削ぎ落としたロードバイクのどこにアシスト機構を組み込んだのか?

世界選手権レベルのレースでアシストできる機構とパワーを考えるとバッテリーだけでも物理的に目立たないワケがありません。

駆動は効率と制御を考えるとAC同期モーターを使うことになるでしょうが、そうなるとUCIが探知しようとした高周波電波と共に「高周波音」がどうしても出ます。この高い音は結構耳障りで、およそ自転車から出る音では無いので周りの人が気づくのでは・・?

本当にそんな物が出来るのか?と、色々調べてみたら、あるんですねぇ〜・・

ドイツのVivax Assist というメーカーが「自転車用モーターアシスト機構」を市販してるんです。

価格も基本セットだけで35万円前後しますが、本格的な品物です。

しかし、このメーカーは『悪意を持って』このシステムを売っているわけでは無いことは明白です。

妻や恋人とサイクリングに行きたいが、彼女と体力差があって一緒に走りにくい。しかし、野暮ったい電動自転車では見た目から「同じ趣味で楽しんでいる」気分が削がれる・・

そんな時、機材の外観を変えることなく、『ちょっと辛い時だけアシスト』してくれるのが、この商品コンセプトです。

つまり、このシステムは電動アシスト自転車のように『基本、常時アシスト』してくれるのではなく、『ハンドルに付けたボタンをおした時のみモーターがアシストしてくれる』のです!

ナルホド・・ そう割り切ってしまえば、バッテリーは最小限度、モーターの過熱による耐久時間は犠牲にしてシステム全体を小型・軽量にできます。

UCIが摘発した不正にこのVivax Assistが使われていたのか?明らかにはしていませんが、その内容と他に類似商品が見当たらない事から、この商品を使ったか或いは一部機構を流用した確率は相当に高そうです。

まぁ、Vivax Assistは「悪意はない」のでUCIは不正に使われた機材メーカー名を明らかにはしないと思いますが・・

では、改めてそのVivax Assistの内容を見てみましょう。

◆シートチューブにセットされた駆動部と、ボトムブラケット内のクランクシャフトにセットしたヘリカルギヤが噛み合い、駆動する仕組みで、最高出力は200W!!

駆動しない時のモーターはフリーとなり、ペダリングの邪魔にならないようになっているらしいが、200Wの駆動モーターが発する熱はかなり放熱性が良くないと焼けてしまうため、私の予想ではサーマルプロテクタか、連続アシスト時間をプログラムで制限しているのでは?と思う。

◆バッテリーは大型と小型の2種類あり、サドルバックやボトルに仕込む。

小型のバッテリーでの最大70分、写真の大型で連続100分使用できるらしい。

これはヒルクライムの本当に苦しいポイントだけとか、断続的に使用するなら十分でしょう。

◆アシスト起動ハンドルスイッチ

この赤いボタンを押した時のみ、アシストAC同期モーターが起動します

◆アシスト制御はケイデンス60回転を前提にプログラムされていて、90までいくとアシストが止まる仕組みだとのこと。つまりトルクが重視された設計なのでしょう。

◆システム全体の重量はなんと1.8kgだという。

思ったほど重くない。

シートチューブ系が30.9mmか31.6mmであればどんな自転車にでも取り付けることができる。

アシスト機構が組まれている事は黙っていればバレないだろうね。タブン。

部長やAOKさんとサイクリングに行きたいが、あまりに体力差があって一緒に走れない私にピッタリなシステムですが、35万円は高すぎ!!

ちょっと前に、カンチェラーラのモーター内蔵疑惑なんて事が話題になった事があったけど、あれはあまりな強さを尊敬してのジョークだと思っていましたが・・・ひょっとして・・?

こりゃぁ、ひょっとするとジャカ自、部長やAOKさんも怪しいかも・・?

今度、こっそり高周波電波を測定してやろう・・(どうやって?笑)

うぅ〜ん・・技術屋で飯食ってる私にとって、この話題はどうしてもその仕組みに興味が・・


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